現場を離れた元看護婦の力を地域に還元
在宅患者の細かなニーズに対応する
ー訪問ボランティアナースの会「キャンナス」ー
「現場を離れた”浦島太郎状態”の看護婦でも、その能力を生かす場がきっとあるはず」−1人の元看護婦のボランティア精神から1997年に誕生したのが、訪問ボランティアナースの会「キャンナス」です。
設立者で、代表の菅原由美さんは、自身の両親をはじめとする親族を在宅で介護した経験をきっかけに、家庭に入った潜在看護婦の技術や経験を地域に還元できるようなボランティア組織を、と夫が経営する会社の事務所の一角に事務局を構え、活動をスタートさせました。
同会のシステムは、看護婦資格を持つ主婦などにボランティア登録をしてもらう一方で、在宅ケアを必要とする家庭にも登録してもらい、登録家庭の要請に応じ、近くに住むボランティアが出向く、というもの。
具体的な活動内容は、送迎・外出の付き添いや、リハビリ、入浴、排泄介助などの介護サービスをはじめ、障害を持つ小児の通園・通学介助や修学旅行の付き添い、親族の結婚式の同行など、介護保険および医療保険でカバーできないサービスの提供が中心となります。
口コミで広がりつつあったその活動は、テレビや新聞などマスコミでも紹介され、それに触発された元看護婦によって全国に同様のボランティアナースの組織が設立されたそうです。
現在、キャンナスに登録している元看護婦は189人、現役看護婦は79年、合計268人。「全国に100万人もいると言われている”主婦看護婦”たちが地域の介護にかかわれば、在宅ケアの質が向上し看護婦不足も解消されるはず」と菅原さん。
同会では、看護婦のほか、ヘルパーやドライバー、PTなど他職種からのボランティアも募集しています。
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